アゾフスターリ、核攻撃にも備えて建設 地下にトンネルやシェルター

ウクライナ情勢

坂本進
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 ロシアによる侵攻後、ウクライナ南東部マリウポリでは、300人超の市民と1千人超のウクライナ兵が、ロシア軍による激しい攻撃の中、製鉄所「アゾフスターリ」の地下空間で2カ月以上を過ごした。

 マリウポリはロシアが占領するクリミア半島と、親ロシア派が支配するウクライナ東部の間に位置する要衝で、2月24日の侵攻後、激戦地の一つになった。住宅や民間施設も攻撃の対象になり、3月には産科病院や民間人の避難所になっていた劇場が攻撃を受けた。

 5月20日にロシア国防省が街の「完全制圧」を宣言するまでに、2万人以上の市民が犠牲になったとされる。郊外に大規模な集団墓地がつくられたことが、衛星写真で明らかになっている。

 市役所や劇場がある中心部から車で数分。長い橋をわたった先に、製鉄所の高炉や工場の建物群が広がる。人口43万の港湾都市で、約1万人を雇用していた。建設されたのは旧ソ連時代の1930年代。爆撃や封鎖、核攻撃にも備えて造られた6層にも及ぶ地下空間には、トンネルやシェルターが広がるという。

 製鉄所の「左岸地区」には、広大な集合住宅が並ぶが、3月初めのロシア軍によるマリウポリ包囲後、早い段階からほぼ廃虚に近い状態になった。

 ロシア軍が街の大部分を掌握した4月以降、ロシア支配の既成事実化が進んでいる。

 4月6日には、ロシア側により親ロシア派の市議会議員が「市長」に任命された。住民が市内を移動する際はロシア側が発行する通行証を持ち歩くように求められ、ウクライナ語で書かれた道路標識は、ロシア語表記への置き換えが進められている。坂本進