最高裁大法廷が全員一致 国民審査の在外投票不可「違憲」判決の骨子

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 最高裁裁判官国民審査について、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は25日の判決で、海外に住む日本人が投票できないのは憲法違反だと判断した。必要な法律を整備してこなかった国会の「立法不作為」の責任も認めた。15人の裁判官の全員一致した意見だった。判決理由の骨子は以下の通り。

 本件では、国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民(在外国民)に最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査(国民審査)に係る審査権の行使が認められていないことの適否などが争われている。

 1 最高裁判所裁判官国民審査法(国民審査法)が在外国民に審査権の行使を認めていないことの憲法適合性

 国民の審査権またはその行使を制限することは原則として許されず、これらを制限するためには、やむを得ないと認められる事由がなければならない。

 しかしながら、具体的な方法などのいかんを問わず、国民審査の公正を確保しつつ、在外国民の審査権の行使を可能にするための立法措置をとることが、事実上不可能ないし著しく困難であるとは解されない。

 そうすると、在外国民に審査権の行使を認める制度(在外審査制度)の創設に当たり検討すべき課題があったとしても、そのための立法措置が何らとられていないことについて、やむを得ない事由があるとは到底いうことができない。

 したがって、国民審査法が在外国民に審査権の行使を全く認めていないことは、憲法15条1項、79条2項、3項に違反する。

 2 本件違法確認の訴えの適否など

 第一審原告は、本件違法確認の訴えにおいて、第一審被告(国)が第一審原告に対して国外に住所を有することをもって次回の国民審査において、審査権の行使をさせないことが違法であると主張し、その確認を求めるものである。国民審査が在外国民の審査権の行使を全く認めていないことによって、在外国民につき、具体的な国民審査の機会に審査権を行使することができないという事態が生じる場合には、個々の在外国民が有する憲法上の権利に係る法的地位に現実の危険が生じているということができる。

 また、審査権は、侵害を受けた後に争うことによっては権利行使の実質を回復することができない性質のものである。加えて、国民審査法が在外国民に審査権の行使を全く認めていないことが違憲であることを理由として、国が個々の在外国民に対して次回の国民審査の機会に審査権の行使をさせないことが違法であることを確認する判決が確定したときには、国会において、裁判所がした違憲である旨の判断が尊重されるものと解され、当該確認判決を求める訴えは、当事者間の争いを解決するために有効適切な手段であると認められる。このように解しても、国会の立法における裁量権などに不当に影響を及ぼすことになるとは考え難い。

 したがって、現に在外国民である第一審原告に係る本件違法確認の訴えは、公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法である。そして、本件違法確認の訴えに係る請求は理由があり、これを認容すべきものである。

 3 立法不作為の国会賠償法上の違法性

 第一審原告らの損害賠償請求についてみると、在外国民であった第一審原告らも審査権を行使する機会を与えられることを憲法上保障されていたのであり、国会において、その権利行使の機会を確保するための立法措置をとることが必要であった。そして、在外審査制度の創設に当たり検討すべき課題を解決することが事実上不可能ないし著しく困難であったとまでは考えがたいことに加え、国会は長きにわたって、在外審査制度の創設について所要の立法措置を何らとらなかったというのである。

 これらの事情を考慮すれば、遅くとも2017年10月22日に施行された国民審査の当時においては、在外審査制度を創設する立法措置をとることが必要不可欠であり、それが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠ったものといえる。

 そうすると、この立法不作為は、その当時において、国会賠償法1条1項の適法上違法の評価を受けるものである。