「教え崩さず、私なりのものを」 中村又五郎 亡き吉右衛門への思い
増田愛子
6月、国立劇場の歌舞伎鑑賞教室では「彦山権現誓助剣(ひこさんごんげんちかいのすけだち) 毛谷村」が上演される。剣の達人で心優しい青年・六助が婚約者のお園と出会い、その父である師匠の敵討ちを決意するまでを描く、一幕物の名作。六助役の中村又五郎は「教えを崩さず、私なりのものをお見せできれば」と話す。
物語は、六助が親孝行者を装う浪人・微塵(みじん)弾正(だんじょう)にだまされ、剣術試合で勝ちを譲る約束をする場面で始まる。素直な人柄が描かれる一方で、山賊から子供を守り、不思議な老女の訪れにも動じない強さも見せる。
「全てを受け入れられる、器の大きい人間。そこをきちっと演じておかないと、敵にだまされたと分かる後半の怒りが大きく爆発しない。作品の眼目は、そこだと思うんですよね」
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