ロシアによるウクライナ侵攻で、核兵器使用のおそれが指摘される中、バイデン米大統領が訪日した。日米の両首脳はどのようなメッセージを発し、これからどうするべきか。被爆地・長崎の専門家に聞いた。(聞き手・田井中雅人)
鈴木達治郎・長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)副センター長
日米首脳共同声明で気になったのは、日米同盟の抑止力だけでなく「対処力」の強化が盛り込まれていることだ。抑止が利かず、攻められた時にどう対処するかということであり、「敵基地攻撃能力」もこれに含まれよう。防衛予算を拡大するという、政治目的が大きいのだろう。
本来、核抑止のことを考えるならば、核使用のことも考えなくてはいけないが、本当にそんなことまで議論したのだろうか。日本のために米国が核兵器を使ってくださいということが現実的に考えられるのか。
台湾海峡の問題もそうだが、基本的には相手との対話がなければ抑止力は確保できないはずだ。米国大統領のアジア歴訪時には中国を訪問するのが常だが、今回バイデン大統領は中国に行かなかった。これは抑止の目的から見ても、非常に残念だ。抑止を確実なものとするためにも、中国との対話が不可欠だ。
バイデン大統領の韓国・日本歴訪中に北朝鮮がミサイル・核実験をしなかったのは、新型コロナパンデミックが影響しているのではないか。北朝鮮に対して人道支援をすると米韓首脳共同声明には盛り込まれており、緊張緩和のためにはすごく大事なことである。
少なくとも日米韓は、北朝鮮…
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