広島の目薬なぜハワイへ? 1904年の邦字新聞に広告、住民ら調査

戸田和敬
[PR]

 かつて広島市安佐南区で製造していた「安(やす)の目薬」は、1900年初頭にハワイまで伝わっていた――。地域住民による安郷土史懇話会が、この地の目薬を約10年間にわたり調査し、こんな資料に行き着いた。懇話会は研究の成果を冊子にまとめ、同区役所で数々の史料を展示している。

 「安の目薬」はまぶたに塗る練り薬で、体温で溶けて目に入る。結膜炎やただれ目、やけどにも効く万能薬だったとされる。二枚貝や小瓶を容器にして販売されていた。

 旧安佐郡安地区(現・安佐南区)は小高い山に囲まれ、豊富な湧水(ゆうすい)が目薬の製造を支えた。地域で盛んだった麻作りは、アクを含む湯気を浴び、目の病にかかる人も多かったという。

 1904年のハワイの邦字新聞には、「安佐郡安の御目薬」との広告が掲載された。安佐郡は「移民県」広島の中でも国外に働きに出る人が多かった。懇話会は「移民先に持参し、現地で購入し、使用していたのでは」と分析している。

 同会の立川元英さん(67)は「この目薬で地域の名は海外でも知られた。郷土の歴史を次世代に継承したい」と話す。

 区役所での企画展は6月3日までで、来年1月にかけて区内5カ所を巡回予定。問い合わせは安公民館(082・872・4495)へ。(戸田和敬)