全国新酒鑑評会で福島が9連覇

斎藤徹
[PR]

 日本酒のできばえを競う全国新酒鑑評会の審査結果が25日発表され、福島県内蔵元の17銘柄が金賞に選ばれた。都道府県別での金賞受賞数は福島が最多で、中止の一昨年をはさみ9回連続で「日本一」となった。関係者は「暗いニュースが続くなか、明るい話題を県民に届けることができた」と喜んだ。

 全国新酒鑑評会は独立行政法人酒類総合研究所広島県東広島市)と日本酒造組合中央会が共催する国内最大規模の日本酒鑑評会。今回は2021酒造年度に製造された826点が全国から出品され、405点が入賞。このうち205点が最高の金賞に選ばれた。

 福島の金賞受賞日本一は通算11回目。金賞受賞数は、福島に次いで秋田と兵庫が各13点、新潟と長野が各12点だった。入賞数も福島が32点と最多で、長野が27点、新潟が26点と続いた。

 この日、郡山市の県農業総合センターでは、9回連続日本一を記念したセレモニーが開かれた。井出孝利副知事は「9回連続日本一は福島の米、水、人によって達成された偉業。県民の自信にもつながる」とたたえた。

 県は、東日本大震災原発事故風評被害でイメージが落ちた県産食材再興の「切り札」として、鑑評会での金賞受賞に向け、酒造技術向上などに取り組んできた。

 昨年度まで、県ハイテクプラザ会津若松技術支援センター副所長として県内蔵元に技術指導をしてきた鈴木賢二・県酒造組合特別顧問は「日本酒のレベルが全国的に上がっているなかで9連覇はうれしい。今回は米の品質が良く溶けやすかったため、前年より確実に良い酒ができた」と評価した。

 県酒造組合の有賀義裕会長は「連続日本一で『酒どころ福島』は国内に定着してきた。今後は世界に『福島の酒ここにあり』とPRしていきたい」と話した。(斎藤徹)

     ◇

 白河市の有賀醸造は、今回出品した銘柄「陣屋」が初めて金賞を受賞した。常務兼杜氏(とうじ)の有賀裕二郎さん(38)は「福島の日本一に貢献できてうれしい」と笑顔を見せた。

 江戸時代の1774年創業の老舗(しにせ)。有賀さんは2011年の東日本大震災後に家業を継ぎ、10人に満たない社員とともに、県南地方の「硬めの水」をいかした酒造りに取り組んできた。

 昨年2月の地震で工場の煙突が損傷し、今年3月の地震では貯蔵仕込み蔵が半壊した。コロナ禍で出荷量も大きく落ち込んだ。

 そんな中での金賞初受賞で、喜びもひとしおだ。有賀さんは「これからも精進を重ね、白河の風土が感じられるような酒を造っていきたい」と話した。

金賞を受賞した銘柄

陣屋(有賀醸造・白河市)▽千駒大吟醸(千駒酒造・白河市)▽寿々乃井(寿々乃井酒造店・天栄村)▽廣戸川(松崎酒造・天栄村)▽東豊国(豊国酒造・古殿町)▽人気一(人気酒造・二本松市)▽奥の松(東日本酒造協業組合・二本松市)▽会津中将(鶴乃江酒造・会津若松市)▽名倉山(名倉山酒造・会津若松市)▽笹正宗(笹正宗酒造・喜多方市)▽國権(国権酒造・南会津町)▽田島(会津酒造・南会津町)▽玄宰(末廣酒造博士蔵・会津美里町)▽アイヅオトコヤマ ワ(男山酒造店・会津美里町)▽萬代芳(白井酒造店・会津美里町)▽學十郎(豊国酒造・会津坂下町)▽七重郎(稲川酒造店・猪苗代町)

福島県の金賞受賞数と全国順位の推移

年度 金賞数 順位 金賞1位の県

2010  19  2  新潟(金賞23)

2011  22  2  新潟(同24)

2012  26  1

2013  17  1  山形と同位

2014  24  1

2015  18  1

2016  22  1

2017  19  1  兵庫と同位

2018  22  1

2019 新型コロナの影響で審査中止、金賞選定なし

2020  17  1 長野と同位

2021  17  1

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません