熱中症、水だけでは防げない 暑い日の水筒、中身はどうする?

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中井なつみ
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 「水筒の中身は、水だけにしてください」。こんな指示が出されている学校現場に、熱中症に詳しい医師は「水分だけでは熱中症は防げない」と警鐘を鳴らす。熱中症のリスクが高まる季節を前に、心がけておくことは何か。

 「今年から、水筒の中身は『水』に統一します」

 東京都内で小学3年生の長男(8)を育てる母親は、学校からのこんな手紙を見て違和感がぬぐえなかった。

 学校では入学時から、新型コロナウイルス対策として、水分補給のための水筒を各家庭から持参するようになっていた。だが、暑い時期は熱中症なども気になる。「麦茶やスポーツドリンクなども選択肢としてあっていいのでは」と思い、担任を通じて問い合わせてみたが、水に統一する方針は変わらなかった。

 「水以外を許可すると、紅茶はいいのか、ジュースはいいのかと、収拾がつかなくなる」というのが学校側の主張だったという。

 ただ、こうした「水」に限定した水分補給のあり方について、専門家には「かえって危険」とする見方もある。熱中症対策に詳しい済生会横浜市東部病院の十河(そごう)剛(つよし)医師は、「水だけに限定して水分をとらせていても、熱中症や体調不良を引き起こすリスクは防げません」と指摘する。

 十河医師によると、汗をたくさんかくと、水分補給をしても体内の塩分濃度が低い状態は改善しない。そのため、体は塩分濃度を調節しようとさらに尿などで水分を出そうとしてしまうため、脱水状態になりやすくなるという。

 この状態は、けいれんや意識障害を引き起こす「低ナトリウム血症」と言われる。十河医師は「熱中症で救急搬送された人のうち、8~9割は『きちんと水分はとっていた』という人です。水分補給だけでは十分な対策でないということは、実はあまり知られていない。ここに危機感を持っています」と強調する。

 では、学校の現場で求められる水分補給のあり方とは、具体的にどんなものなのか。

 十河医師は「子どもが学校でかく汗の量が意外と多いこと、どのくらい体内のナトリウム量が少なくなっているかについて、データをまず知ってほしい」と話す。

 十河医師らは2016年6月、小学校5年生を対象に、45分間の体育の授業での発汗量を測定した。その結果、男子が平均318ミリリットル、女子で平均249ミリリットルの汗をかいていることが確認できた。個人差はあるが、この量の汗をかいたときの体内のナトリウム喪失量を計算すると、「梅干し1個分」ほどになるという。

 十河医師は「水を飲むだけでは、このナトリウムを補給できない。そのまま放置すれば、低ナトリウム血症のリスクが高まる」とし、「汗をかく季節、まずは水分と一緒に塩分を補給する大切さを知ってほしい」と話す。

 暑い時期の対策について学校…

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