軍事技術か否か…区別難しい時代に突入 学問の自由とのバランスは

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神里達博の「月刊安心新聞+」

かみさと・たつひろ

1967年生まれ。千葉大学大学院教授。本社客員論説委員。専門は科学史、科学技術社会論。著書に「リスクの正体」など

 私たちはこの3カ月、ウクライナでの悲惨な戦いをテレビの報道などで目にしてきた。そもそも、こんなに多くの兵器があるから戦争の規模が拡大し、犠牲者も増えるのだと、感じている方もいるかもしれない。

 確かに現代兵器は先端的な科学技術に大いに依存しており、広い意味で科学技術政策の対象でもある。

 そこで今回は、そのような軍事技術と、科学者や技術者、また大学との関係について考えてみたい。

 軍事技術に長(た)けた古代国家といえば新アッシリアが有名だが、すでに「工兵」に相当する存在が戦場で活躍していたという。古代ローマでも、要塞(ようさい)の建設や投石器の活用など、戦場での課題を技術的に解決することで戦闘を有利に導いていた。

 一方、中世の中国で発明された火薬は、遅くとも12世紀には戦場で使われた記録がある。そして13~14世紀ごろに欧州にその製造方法が伝わった。これを契機に銃砲が作られるようになり、その後の戦争の形を大きく変えていく。

 さらに欧州では近代科学が動きだし、また産業革命が起こって西欧世界の近代化が急速に進んだ。

 とはいえ、科学技術と戦争が本格的に結びついたのは20世紀の第1次世界大戦からである。参戦国において、はじめて科学者共同体が戦争遂行のために組織的に動員され、軍事技術のみならず、軍需物資の補給にも積極的に活用された。

 しかし、これは政府が一方的…

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    遠藤謙
    (エンジニア)
    2022年5月31日11時48分 投稿

    【視点】私自身、実は海外での博士課程の生活費や学費はアメリカの防衛省の研究費から出ていた。内容は義足に関する研究であったが、軍事費の一環として研究が行われていたのである。それだけでなく、一時期ソフトバンクにM&AされていたボストンダイナミクスのBi