「原発事故で甲状腺がんに」6人が訴えた裁判始まる 東電は争う姿勢

田中恭太
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 東京電力福島第一原発事故に伴う放射性物質の影響で甲状腺がんになったとして、2011年の事故当時、福島県内に住んでいた17~28歳の男女6人が東電ホールディングスに計6億1600万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が26日、東京地裁(馬渡直史裁判長)であった。原告側によると、東電側は争う姿勢を示した。

 この日は原告の20代女性が出廷し、意見陳述した。

 震災当日は中学校の卒業式。その後普通に過ごしていたが、県の健康調査でがんがわかった。手術を受け、第1志望だった東京の大学をあきらめて近県の大学に入ったが、再発して中退した。「この気持ちをどこにぶつければ良いのかわからない」と涙ながらに語った。

 苦しい放射線治療を受けたが効果は出ず、体調は現在も悪くなる一方だといい、「裁判を通じて補償が実現することを願います」と訴えた。

発症との因果関係が争点に

 裁判では、事故とがん発症の因果関係が争点となる見込みだ。原告側は、子どもの甲状腺がんの最大の発症原因は放射線被曝(ひばく)であるうえ、年間で100万人に1~2人しか発症しないのに、福島県内では事故後、38万人の子どもから少なくとも293人が発症したと指摘。原告らも被曝しており、因果関係は十分証明できると主張している。

 原告側によると、東電側は答弁書で、原告らは被曝していないか、していても健康上問題にならない程度だ、などと反論しているという。

 県の調査では事故後約260人が甲状腺がんかその疑いがあると診断されたが、県の専門委員会は被曝との因果関係を現時点で認めていない。

 東電は取材に対し、答弁内容などは「差し控えたい」としたうえで、「ご請求内容やご主張を詳しくうかがった上で適切に対応して参ります」とコメントした。田中恭太