「2台目も売れ」高齢の客みて無線で指示 スマホ「無理販」の実態

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柴田秀並
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 昨年6月、都内に住む女性(58)は、久しぶりに埼玉県の実家に帰った。夕食前、父(87)から思わぬことを聞かれた。

 「これのフタはどうやって開けるんだ」

 手には真新しいスマートフォン。「なんでスマホを持っているの?」。メールすらできないのに、どうして……。

 尋ねたが、いま一つはっきりしない。

 部屋の片隅に置かれた紙袋を探ると、明細がでてきた。

 最新のスマホに、本革ケース、大容量SDカード……。総額は税込み5万3966円。高額の月額プランに、年会費約1万円のゴールドカード、別の端末まで加入していた。

 購入したのは、近所にある大手キャリアの携帯ショップ。このキャリアは、80歳以上の場合、家族に電話で手続きを説明することになっているが、連絡はなかった。

 問い合わせると、電話に出た店長は悪びれる様子もなく、言い放った。

 「すべてお父様のご意向です。どうしても電話したくないと言われました」

 父は母(97)と2人暮らし。数年前から認知症の症状が出始め、昨年5月には、アルツハイマー型の認知症と診断を受けていた。

 消費生活センターに相談したこともあり、キャリア側と5カ月ほどやりとりした後、すべての代金が戻ってきた。

 だが、謝罪はなかった。

 「父は画面をタッチすることすら理解していなかった。もしもの時にすぐ連絡できなければ命に関わる」。女性は憤る。

 NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクといったキャリアの通信契約を販売する携帯ショップ。全国に約8千店舗あるとされる。

 いまや生活に欠かせない存在だが、知識の乏しい顧客に必要のない契約をさせるといった不適切な販売の報告が後を絶たない。

 どうしてなのか。

「高齢者に、使い放題プランと高額なバッテリーをつけないと詰められる」

朝日新聞が入手した総務省の非公開資料。そこには店員の切実な「生の声」が並んでいました。記事の後半では、大手キャリアのある店長が「無理販」といわれる営業手法を明かします。

 総務省は昨年4月、携帯ショ…

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