東芝、経営陣に海外ファンドから新たに2人 非上場化の流れ加速か
東芝は26日、6月28日の定時株主総会に提案する取締役候補13人を発表した。大株主で「物言う株主」とされる海外投資ファンドの幹部2人を新たに受け入れる。海外勢の影響力が強まることで、買収による非上場化への流れが加速する可能性がある。
取締役会議長にはM&A(合併・買収)助言会社GCAの創業者、渡辺章博氏が就く予定だ。東芝では議長は原則として社外取締役がなる。いまは綱川智・前社長が暫定的に就いている。当初は昨年中に後任を選ぶとしていたが、難航していた。
取締役は現在の8人から13人に増やす。そのうち社外取締役は11人だ。米ファラロン・キャピタル・マネジメント出身の今井英次郎氏、米エリオット・マネジメント出身のナビール・バンジー氏が入る。再任予定のファラロン出身のレイモンド・ゼイジ氏を含めると、取締役の海外投資ファンド出身者は3人となる。
東芝出身者では島田太郎社長と柳瀬悟郎副社長が入り、綱川前社長と畠沢守・前副社長は退任する。
東芝は買収による非上場化を検討している。海外投資ファンドの一部は、非上場化の過程で株を高値で買い取ってもらえば、多額の売却益が見込めると考えているとみられる。東芝内部には慎重な意見もあるが、海外勢の取締役の発言力が増せば、非上場化の流れが強まりそうだ。
経営陣を選ぶ指名委員会の委員長であるゼイジ氏は26日、オンラインで会見を開いた。海外投資ファンドといった特定の株主から取締役を受け入れれば、公平性が損なわれるのではないかといった質問が相次いだ。ゼイジ氏は「株主が推薦したなかで最も適任な人だった。不公平だという意見は正しくない」と述べた。非上場化について問われると、「議論の最中だ」と明言を避けた。
東芝は当初、取締役の候補を…