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妊娠は病気じゃないって本当? 支援の現場から考える妊娠の費用負担

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聞き手・中井なつみ
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 年々、高額化する妊娠や出産に関する費用。政府は、出産時に原則42万円が支給される出産育児一時金の引き上げを検討するが、妊娠に悩む女性を支援する団体からは、「一時金の引き上げだけで話が終わってしまっては残念」との声が出ています。妊娠に関する悩み相談に対応するNPO法人、ピッコラーレ(東京都)の代表理事、中島かおりさんは「現在の社会では、妊娠に対する公的サポートが少ない。『妊娠は病気ではない』という風潮にも、冷たさを感じる」と指摘します。妊娠・出産をめぐるサポートや支援のあり方について、思いを聞きました。

 ――ピッコラーレに寄せられる相談はどのようなものが多いですか。

 「妊娠したが、どうしていいかわからない」「緊急避妊薬が買えない」「経済的に厳しく、育てられる気がしない」など、多岐にわたります。その日の生活を考えるだけで精いっぱいで、臨月になるまで「妊娠のことを考える余裕がなかった」という人もいます。

 妊娠に対する葛藤は、その人の周りの状況次第で大きく変わるのではないでしょうか。

 妊娠した女性は、胎児を子宮のなかで育てるために、今まで経験したことのないような生理的・心理的な変化を経験します。体や心が大きく変化するだけではなく、女性を取り巻く人間関係や経済状況への影響も伴います。仕事があるのか、パートナーとの関係は良好か、家族の協力が得られるのか、生活の基盤は安定しているのか……。今の社会では、本人が妊娠を望んでいたとしても、まわりの環境次第で、妊娠が困りごとになってしまうかどうか左右されるのが現実だと思っています。

 ――出産の自己負担が大きいことが問題になっています。

 経済的な負担が大きすぎると感じています。いま、妊娠に関わる医療費は、保険適用ではありません。妊娠の確定診断のために産婦人科を受診しても、診察費用は全額自己負担です。出産だけではなく、避妊のためのピルや、中絶費用も同様です。

 妊娠が女性個人の問題ではないこと、周囲の環境で不安を抱えることになってしまう女性が多いことなどを考慮すると、妊娠に関わる費用は無償であってほしいと思っています。

 そもそも、女性の生涯の健康にも関わることなのに、公的なサポートがないのはなぜなのでしょうか。さまざまな費用を、妊娠した女性だけに負担させていいのでしょうか。

 妊娠は、100%自分の意思でコントロールできるものではありません。だからこそ、女性の「自己責任」で済ませず、社会で保障していくことが必要だと思っています。

 ――自分の意思ではない、と…

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