「おまえを殺す」幻聴が怖い認知症の夫、周囲の行動でかえって悪化も

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松本一生
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 これまでこのコラムで何度も書いてきたように、認知症の症状は一様ではありません。ある病気になった場合、病気の症状が一定だと対応しやすいのですが、認知症をはじめメンタル領域の病気は多様な症状を示すものです。

 今回は幻聴に恐怖を感じる人に周囲のわれわれがどう対応するのが良いか、考えてみましょう。今回も個人が特定できないように細部に変更を加えて紹介します。

実際には聞こえてないのに、聞こえる「誰か」の声

 実際には聞こえていないにもかかわらず、本人には「誰か」の声が聞こえてくる体験を幻聴といいます。認知症の情報を得てきたみなさんには「あるはずがないものが見える」という幻視について聞くことが多いかと思います。幻視が特徴的な認知症には「レビー小体型認知症」といって、後頭葉の血流が悪くなるために(視覚の中枢は後頭葉です)見えないはずのものが見えてくる認知症や、一部の血管性認知症などがあります。

 これに対して幻聴は、一般的には統合失調症や妄想性障害といった、メンタル領域の病気によって出てくるものが多いのですが、認知症の場合は「行動・心理症状」(BPSD:Behavioral Psychological Symptoms of Dementia)として出てきます。雑音のような幻聴は機能性幻聴と言いますが、人の声が聞こえてくることも多く、本人の頭の上で何人かの人が会話しているような聞こえ方をする対話型の幻聴や、自分が思ったことが声となって聞こえてくる考想化声(こうそうかせい)などがあります。

 要となるのは、その声を聴い…

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