ガツンと激しく苦い「燃える阿蘇」の赤ビール チーズとベストマッチ

城戸康秀
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 チーズと相性がいいアルコールと言えば真っ先にワインが思い浮かぶが、熊本県南阿蘇村のクラフトビール製造会社「みなみ阿蘇ビール」が、「ASO MILK」で知られる阿部牧場(阿蘇市)と共同で、チーズに合う赤いビール「阿蘇レッドIPA」をつくった。6月1日から同牧場が運営する店舗や南阿蘇村産品のオンラインショップで先行販売する。

 みなみ阿蘇ビールは、宮崎県延岡市地ビール醸造会社「宮崎ひでじビール」と、障害者の就労支援としてビールの原材料ホップの栽培を手がける南阿蘇ケアサービスが昨年6月に設立。9月に第1弾のクラフトビールを発売したばかりだったが、11月には阿部牧場に協力を打診して、第2弾となる阿蘇レッドIPAの開発に乗り出した。

 IPA(インディア・ペールエール)はイギリスからインドに輸出されたビールが起源とされるタイプで、ホップによる強烈な苦みが特徴だという。

 みなみ阿蘇ビールの梶川悟史社長(43)が目指したのは、阿蘇山北側の素材を使った「阿蘇ブランド」のビール。阿蘇に根ざした酪農でチーズづくりも手がける阿部牧場と試作を重ね、阿部寛樹社長(45)も加わって相性のいいビールとチーズの組み合わせを追求した。

 ビールの仕込み水には産山村の「池山水源」にわく名水を採用、「火の国」熊本のイメージカラーである「燃える赤色」を表現するため、阿蘇産の赤米と県産の赤い根菜ビーツを使った。

 この結果、鮮やかな赤いビールは、甘い香りと激しい苦みをともに楽しめる個性的な味わいに仕上がった。マッチするチーズは、濃厚な味わいの「白カビ」やにおいが強い「ウォッシュ」。阿蘇市小里の「ASO MILK FACTORY」では、このチーズとビールを一緒に買える。

 南阿蘇ケアサービスが運営するオンライン販売の「南阿蘇商店」では、南阿蘇村にある「白川水源」の水を使った第1弾ビール「阿蘇ブロンドエール」と、阿蘇レッドIPAの飲み比べセットも販売する。

 阿蘇レッドIPAはアルコール度数5%、330ミリリットル入りで価格は税込み660円。関係先での先行販売後は10日から道の駅や観光施設などで一般販売を始める。初回生産は2千本だが、クラフトビールは若者に人気があり、生産体制を整えながら、年間10万本の販売を目指すという。

 梶川社長は「阿蘇の素材にこだわったビールで地域の農業や観光振興にも貢献したい」と強調。阿部社長も「牛がうみ出す堆肥(たいひ)を赤米生産に使い、その赤米でビールができる。地域の素材がつながり、循環する流れもつくっていきたい」と話していた。(城戸康秀)

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