冬季五輪パラの行方、「パラダイムシフト」 長年抱え続けるジレンマ

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ロンドン=遠田寛生
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 雪の結晶が映し出された青く光る道を、参加国・地域の旗手たちが歩いていく。2月20日、北京市内の国家体育場(通称・鳥の巣)で北京五輪の閉会式が行われていた。選手の顔はマスクで覆われている。それでも、あちこちで笑顔が確認できる。

 フィナーレで盛大な花火が打ち上がった。そして夜空にメッセージがかたどられた。「ONE WORLD」

 一つの世界。その文字を見て、2日前にあった国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長の発言を思い出した。

 閉幕に向けた記者会見だった。新型コロナウイルス下での今大会の開催から何を学んだか、という質問にこう答えた。

 「逆境におかれても、我々が団結すればとても強い。この6カ月で(東京と北京)の五輪2大会を開催できたことが物語っている」

 慎重で、マイナス面は口にしない性格だ。称賛だけで終わるのは明らかだった。とはいえ、この大会ではいくつも問題が出ている。

 モヤモヤした気持ちが再びこみ上げてきた。そして思った。

 冬季五輪が存続するには根本的な見直しが必要ではないか、と。

 3カ月ほど経った5月20日、IOCは総会を開き、2030年の冬季五輪開催都市を年内にも一本化する見通しを出した。

 有力候補には札幌市が挙がる。日本でも今後、開催の賛否が問われていくだろう。そんな今だからこそ、抱える課題を知り共有していく必要性を感じている。

 まずは開催都市の条件だ。北京ではほとんど雪が降らないため、山林を切り開き冬季施設をつくり、ほぼ人工雪でカバーした。

 これに批判が殺到した。一時…

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