川崎戦の前にサンガが見たビデオ よみがえった「京都スタイル」

内田快
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 (29日、サッカーJ1 京都サンガ1―0川崎フロンターレ)

 車のアクセルをふかすように、京都のサイドバック荻原拓也が加速した。後半15分、パスを受けて左サイドを深くえぐる。そこからゴール前へ低いクロス。相手がクリアできず、決勝のオウンゴールになった。

 「推進力があり、あそこまで入っていって高速クロスを上げられる。彼は京都だけじゃなく、日本全体にとって大事な選手」と曺貴裁(チョウキジェ)監督はほめちぎった。

 京都の生命線は運動量だ。その意識を植えつけるために、昨季就任した曺監督はサッカー用語ではない言葉をあえて使っている。

 サイドバックを「アクセル」と呼ぶ。前に出て、また帰る。エンジンを何度もフル回転させるのだ。

 今季からは発電機を意味する「ジェネレーター」も作った。MF川崎颯太とDF白井康介が指名されている。仲間にエネルギーを送るような、精力的な動きが役回りだ。

 リーグ序盤は彼らの働きもあり、J1昇格組ながら上位につけた。ただ、ここ6試合は勝利から遠ざかっていた。「最近はJ1の技術の高さや判断の速さに振り回されていた」と曺監督。強豪との連戦で、自分たちのスタイルが薄れていた。チームはこの一戦を前に、昨季J2で戦った自分たちの映像を見た。川崎は「はっとした。勇敢にプレスにいっていた」。

 この日は暑かったが、豊富な運動量で川崎の攻撃を封じ、逆に得点を奪った。荻原は「とにかくうれしい。シンプルに自分たちのサッカーを見せる意識だった」。アクセルを踏み直し、昨季王者を倒した。(内田快)