「投票できないのね」怒る有権者 ただ謝るしかない選管職員の苦しみ
大坪実佳子
その電話は、選挙が近づくと必ず何本もかかってくる。
投票所の入場券が、有権者の家に届く頃のことだ。
「高齢の家族が転んで骨折したから、投票所に行けなくて。何とか投票できませんか?」
関東地方のある選挙管理委員会の職員は、電話のたび、有権者の状況を聞き取っていく。自宅で療養しているのか、入院したのか。もしくは福祉施設に入っているのか。介護サービスを受けているなら、要介護度は?
もし都道府県の選管が指定する老人ホームなどに入所していれば、施設内で不在者投票をできる。最も重い「要介護5」なら、郵便投票が可能だ。
ただ、聞いていくと、そうした例に当てはまらないことも多い。
自宅療養や要介護4や3だと、投票所まで行って投票するしかない。投票の方法や条件は公職選挙法で定められており、自治体が個別に対応することはできない。
わびるしか……
「元気な時は必ず投票に行ってきたのに。投票する方法は、ないのね」
病気やケガなどで、投票したくても投票できない人たちがいます。こうした問題を解決しようと総務省で研究会が発足したものの…。専門家の痛烈な指摘は国に届くのでしょうか。
問い合わせの電話が、次第に…
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