王家の墓、骨持ち去りは「学問の名による暴力」 識者に聞く研究倫理

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聞き手・桜井泉
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交論 骨から考える沖縄

 沖縄では、先祖の骨が神として大切にされてきた。だが1世紀前に本土の学者が持ち去ったままの王家の墓の骨をめぐり、沖縄の人たちが返還を求める訴訟が現在も続いている。遺骨と研究の関係性をどう考えればいいのか。文化人類学者の池田光穂さんに聞いた。

いけだ・みつほ

1956年生まれ。大阪大学名誉教授。中米グアテマラの先住民を研究

骨は重要な信仰対象

 ――沖縄など南方の島々には昔から葬祭をめぐる独特の習俗がありますね。

 「今はほぼ火葬ですが、沖縄や奄美などでは風葬が行われていました。遺体を崖や洞窟に置き、外気にさらし、数年後に白骨化した骨を洗い、墓に納めます。明治時代に前近代的で不潔だという当局の指導などもあり土葬が広がりましたが、掘り起こして洗骨をするのは同じで、骨は共同体の神として現在もなお重要な信仰対象です」

記事の後半では、池田さんがアメリカを例に、先住民族の遺骨返還に向けた法律が制定されたことを踏まえ、日本も相当の措置を取るべきことを提言しています。

 ――南方の文化では骨が大事にされてきたのですね。4月には、沖縄の人たちが京都大学に祖先の人骨の返還を求めた訴訟の判決が京都地裁で出ました。

 「沖縄県北部、今帰仁(なき…

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