「プロパガンダの言葉、聞き分けて」 危機の中でロシア語を学ぶ意味

有料会員記事ウクライナ情勢

聞き手・根本晃
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沼野恭子さん|ロシア文学者

 文豪ドストエフスキーやトルストイをはじめ、日本でもロシア文学の愛読者は多い。だが、ウクライナへの侵攻で、ロシアは厳しい非難にさらされている。危機的な状況の中で、ロシア文学を取り巻く状況はどう変わっているのか。いま、ロシア語を学ぶ意義はあるのか。ロシア文学者で、東京外国語大学でロシア語を教える沼野恭子教授に聞いた。

ぬまの・きょうこ

1957年生まれ。東京外国語大学ロシア語学科卒業後、NHKでロシア国内向けのロシア語放送番組を担当。東京大学大学院博士課程を経て、08年から東京外大教授。NHKロシア語講座の講師も務めた。著書に「ロシア文学の食卓」「ロシア万華鏡」、訳書にウリツカヤ「ソーネチカ」、「ヌマヌマ はまったら抜けだせない現代ロシア小説傑作選」(共編訳)など。

 ――いま、ロシア国内の言論状況はどうなっているのでしょうか。

 「言論統制が急激に進んでいます。当局が『フェイク』と見なした情報を報じた場合、最大で禁錮15年の刑罰を科す法律が3月に成立し、抗議デモもできない状況です。4月には、サンクトペテルブルクの書店に警察の捜索が入り、書店員が拘束されたり、一部の本が押収されたりしたというニュースがありました」

 「こうした言論の自由が奪われていく状況を『息苦しい』『生きていけない』と考える人たちは、どんどん国外に逃れています。文学者に限っても、戦争が勃発する直前にドイツに行った人気作家ウラジーミル・ソローキンはそのままロシアに戻らないことに決めたといいますし、毎年ノーベル文学賞の候補に名前が挙がるリュドミラ・ウリツカヤは最近ドイツに逃れ、若手ホラー作家のアンナ・スタロビネツはジョージア(グルジア)を目指して出国しました」

文学作品まで検閲される恐れ

 ――リベラルな作家がロシアで活動するのは事実上、不可能になっているのでしょうか。

 「そうなりそうな予感がして…

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