国と東電へ「人生を返して」 原発事故で奪われた13年の農業人生
斎藤徹
福島県田村市都路(みやこじ)地区の旧緊急時避難準備区域の住民が、東京電力福島第一原発事故により元の生活を奪われたとして、国と東電に損害賠償を求めた「都路原発訴訟」の判決が、6月2日、福島地裁郡山支部で言い渡される。都路の土地にほれ込んで移住し、10年以上かけて改良した土を除染で失った原告の男性は、判決を前に「国と東電は、事故を起こした責任に正面から向き合ってほしい」と訴える。
小林仁さん(75)は、阿武隈高地の一角、田村市都路町の山間部に1人で暮らす。小鳥のさえずりで目を覚まし、自宅庭の草むしりをしたあと、昼には本を読む。夕暮れ時は、趣味の楽器ケーナを吹く。
一見すると悠々自適な生活を送るようだが、内には言いようのない悲しみがぬぐえない。
1997年、勤めていた会社…
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