仕組み債に隠れコスト 金融機関に年10%のもうけ? 金融庁が公表
稲垣千駿
高い利回りをうたって地方銀行などが販売に力を入れている金融商品「仕組み債」では、購入者が見えない形で年率10%程度のコストを負担している――。そんな調査結果を金融庁がまとめた。コストは、実質的な手数料などで、大半は金融機関側のもうけになっているとみられる。大きな損失が出ているものもあり、金融庁が注意を呼びかけている。
仕組み債は金融派生商品(デリバティブ)を組み込んだ複雑な債券。株価などの指標に基づき、償還までは高い利息が得られるとうたっているが、指標が決められた水準を上回ると「早期償還」になり、満期までの利息が得られなくなる。一方で、指標が水準を下回ると、元本を大きく失うリスクもある。
金融庁は今回、主要な仕組み債の一つであるEB債(他社株転換可能債)のうち、2019年4月に複数の大手証券が販売した364本について聞き取り調査や公開情報から分析し、調査結果を27日に公表した。
それによると、元本に対し平…

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