富士川町に女性消防団員が誕生 「最前線で役立ちたい」

池田拓哉
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 山梨県内の消防団員が減り続ける中、女性の加入がじわりと増えている。富士川町では4月、初の女性消防団員が誕生した。性別による役割分担の垣根を越えて、地域全体で防災力をどう高めるかが問われている。

 富士川町消防団に4月、町内の会社員菊池美里さん(36)が加入した。菊池さんは8年前、結婚を機に静岡県函南町から、夫の実家がある富士川町内に引っ越してきた。

 もともと消防団の経験があった。函南町で21歳の時に入団。災害時や救急車の到着前にやるべき応急手当ての方法を住民に指導したり、消防団の活動を知らせる広報紙を作ったりしていた。「消防団の後方支援的な活動でした」と話す。

 現在の在宅での仕事が一段落したため、再び消防団活動に参加しようと考えた。町内の団員の減少も気になっていた。「火災や災害が起きたときに地域のために動ける人でいたい」。昨秋、町役場にメールで問い合わせ、新年度からの入団が決まった。

 4月17日、初めて活動に参加した。ポンプ車のホースを持って放水訓練をし、担当地域の消火栓の点検をした。消防の最前線でも役割を果たしたいと考えている。

 「女性でもマルチに頑張れることを伝えたい。性別に関係なく、消防団活動に関心を持つ人が増えたらいいですね」

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 山梨県によると、県内の消防団員は1万4380人(2021年4月時点)。10年間で約1千人減った。

 県消防保安課は理由について、人口減少に加えて活動に参加する若い人が減っていると推測する。また、日中に自宅近くにいない会社勤めの人が増え、地域のつながりが希薄になった結果、年長者が年少者を消防団に勧誘する機会が減ったとみている。

 長らく「男性の仕事」の印象が強かった消防団活動だが、女性の団員は少しずつ増えている。県内では21年4月時点で188人在籍し、10年前の約4倍に増えた。同課は「市町村が女性の参加を積極的に呼びかけるようになった。防災啓発や救急訓練など参加しやすい活動分野があることが、徐々に知られるようになってきた」と指摘する。

 相原靖志課長は「近年は地震や台風などによる大規模災害の頻度が増している。地域の防災力を高めるため、男女問わずに参加を呼びかけたい」と話す。県と16市町村は加入促進策として、消防団員が飲食店などの事業所で割引などが受けられる「サポート事業」を展開している。現在計815事業所がサービスを提供しており、5年間で約1・5倍に増えたという。(池田拓哉)