「俺は自宅で逝く」 在宅専門医が見た末期がん患者の決意と最期
それぞれの最終楽章 在宅で(1)
向日葵クリニック院長 中村明澄さん
私は、千葉県八千代市で、在宅医療専門のクリニックを運営しています。10年前から、900人ほどの方を看取(みと)ってきました。訪問看護ステーションと緩和ケア専門施設(サービス付き高齢者向け住宅)も運営しています。これから、印象に残った患者さんを何人かご紹介していきたいと思います。
まずは、川島盛男さん(享年84)。膵(すい)がんや肝細胞がんの末期で、大学病院の外来から紹介されました。
2021年3月31日が最初の訪問でした。奥さんと離婚して一人暮らし。「病院は自由がない。住み慣れた家がいい」が口癖でした。昔から美術が好きで、自宅には素敵な絵がたくさん飾られていました。2カ月ほどで亡くなったのですが、とてもかっこいいおじいちゃんでした。
「自分でやれることは自分で…