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白血病の僕を励ます大食い系ユーチューバー 谷やんがくれた闘う力

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井石栄司
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 奈良県に住む平野嘉一くん(11)はこの春、白血病との闘いを乗り越えた。3年近くに及んだ闘病生活での心の支えは「大食い系ユーチューバー」。退院後に待っていたのは、思いがけない「誕生日プレゼント」だった。

 嘉一くんは2019年9月に白血病だと判明した。翌年3月、臍帯血(さいたいけつ)移植を受けてしばらく後、病室でこんなことがあった。

 母親の富紗子さん(41)がベッドで横になっている嘉一くんに目をやると、スマートフォンでユーチューブを見ていた。

 「【大食い】100万円クラスの鮪(マグロ)のカマトロの破壊力が凄(すご)すぎた~裏ルートでこれが0円?!~」。

 谷やんという料理系ユーチューバーが巨大なマグロの頭をさばいて、煮付けやどんぶりをひたすら平らげ、感想を語る。

 「半端じゃなくうまい」「中落ち丼をほおばる。最高の贅沢(ぜいたく)やわ」

 嘉一くんは食事を制限され、点滴で命をつないでいるような状態だった。大食い動画を見ても、余計におなかがすくだけでは?

 そんな富紗子さんの心配をよそに、嘉一くんは時折、白い歯を見せた。

 「マグロの頭を豪快にさばいて平らげる姿を見て、元気になって包丁を手に魚をさばく自分の姿を思い描いているんだろうな」

 病気と闘う力を谷やんからもらっているように思えた。

「腰が痛い」突然の異変

 嘉一くんの体に異変が起きたのは前年の夏だった。

 「腰が痛い」と訴え、微熱が続いていた。

 「大したことはない」。富紗子さんは当初自分に言い聞かせたが、19年9月に急変した。

 風邪薬をもらいに行った診療所で「すぐ大きな病院に」と言われ、次の病院では「大学病院に」と告げられた。

 夕暮れ時にたどり着いた大学病院でこう告げられた。

 「白血病の疑いがある」

 そのまま入院することになった。

 ステロイド剤を投与されると、食欲が抑えられなくなった。気がつくと、スマホでユーチューブの大食い動画を見ていた。それが谷やんの動画だった。

 抗がん剤治療になると、一転して食欲がなくなった。

 治療のつらさに嘉一くんの口からこんな言葉が漏れた。

 「もう終わりにしたい」

誕生日前日のサプライズ

2度目の白血病を乗り越え退院した嘉一くんには思いがけないサプライズが待っていました。それは、お母さんの思いを受け止め、嘉一くんに元気になって欲しいと願う周囲の大人たちの「優しさの連鎖」がつむいだ素敵なプレゼントでした。

 移植から1年ほどで再発。昨…

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