第2回国境の川は抜け穴、押し寄せる越境者 「渡ったら拘束されろ」の理由

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デルリオ=中井大助
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 「人間として働き、その働きに応じて報われたい。普通の生活がしたいだけだが、キューバメキシコではそれができない」

 キューバ出身の女性(33)は2021年9月、国境になっているリオグランデ川を歩いて渡り、メキシコから米国へと入った。匿名を条件に、決断に至った理由を取材に語った。

【連載】越境者たち なぜアメリカをめざすのか

自国第一主義で壁を築いたトランプ政権からバイデン政権になっても、不法移民への厳しい政策は変わっていません。それでも、メキシコから越境を試みる人が急増しているのはなぜか。国境の街を記者が歩きました。

 女性は舞踊家で、メキシコのリゾート地・カンクンで働いていた。「キューバにいる時と比べて思想の自由があり、世界の他の国がどうなっているのか、知ることができた」と話す。

 しかし、麻薬カルテルの影響力が大きいメキシコでも「安全」は得られなかった。知り合いのミュージシャンは、カルテルに対する支払いを拒んだ後、殺害されたという。

 さらに、新型コロナウイルスの影響で観光客が激減し、収入もなくなった。同じくキューバ出身の友人2人と、一緒に米国を目指す決断をした。

コヨーテの指示で深夜の川へ

 米国への越境を案内する「コヨーテ」の指示で、まずはカンクンから、米国との国境のシウダアクーニャまでバスで移動した。到着したのは午後11時ごろ。さらに、リオグランデ川の水位が下がるのを待ち、午前3時ごろに渡った。

 「他の人も集まり、コヨーテを含めて8人で川を渡った。水は腰まで来たけれど、歩くのはそれほど難しくなかった。精神的に準備をしていたので、怖くもなかった」

 シウダアクーニャの近くでは、リオグランデ川の川幅は200メートルもない。米国側に近づくと、懐中電灯の明かりが見えてきた。コヨーテは懐中電灯を持っている男を頼るように指示し、自らは米国側に上陸せず、引き返した。

 待っていたのは、キューバ人…

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