「現状ではやむを得ない」知事、原発再稼働同意 関係自治体の反応は
中国電力島根原発2号機(松江市)の再稼働に向けた地元同意の手続きは、2日に島根県の丸山達也知事が同意を表明して完了した。原子力規制委員会の安全審査に「合格」してから8カ月あまり。原発事故などへの不安や懸念は残ったまま、再稼働がまた一歩近づいた。
「再稼働は現状においてはやむを得ないと考え、容認することと致します」
丸山知事は午前10時から始まった県議会の冒頭、島根2号機の再稼働への同意を表明すると、40分以上にわたって演説を続けた。
「再稼働に不安や疑問を抱く住民がいることは事実。不安や心配のない生活の実現には原発がない方がよく、なくしていくべきだ」とする一方、「日常生活や産業を維持するのに必要な電力の供給に、現状では原発が一定の役割を担う必要がある」「再稼働しなかった場合、雇用を含めた地域経済への影響は大きい」などと、同意の理由を説明。「県民に心配が残るものであり、苦渋の判断だ」とした。
その後の記者会見では、同意の判断をする上で、原発の安全性、必要性、避難計画の実効性、地域経済への影響を重視したと説明。今後避難計画の実効性を高める方法として、住民がどこに避難するのか周知を図ることや、避難に支援が必要な人のために病院や高齢者施設と意見交換をすることなどを挙げた。
また、今月5日に鳥取県の平井伸治知事や島根県内の出雲、安来、雲南の各市長と会談し、知事の考えを伝えることも明らかにした。
丸山知事の同意表明を受け、今年2月に同意を表明済みだった松江市の上定昭仁市長は「立地県として総合的に判断された。その判断内容は、松江市と変わらなかったと受け止めている」と語った。ただ、自身の判断時には、ウクライナの原子力施設が攻撃対象にされる事態は起きていなかった。「原発への武力行使やテロ行為については、国が責任を持って対応するよう、県やほかの立地自治体と協調して働きかけていきたい」などと述べた。
鳥取県の平井知事は「(同意表明は)一つのステップにすぎず、無条件で(再稼働を)進めていいとは考えていない。慎重に今後の中国電力の安全対策を見ていきながら、一歩一歩進めていくという形をとりたい」と話した。米子市の伊木隆司市長は「再稼働の判断は妥当と考える。安全な運用がなされるよう関係機関とともに取り組んでいく」、境港市の伊達憲太郎市長は「市としては避難計画などの周知にも努め、住民の不安を安心に変えられるよう不断の努力を続けていく」とコメントした。
島根県出雲市の飯塚俊之市長は2日の定例会見で、「周辺自治体の様々な意見がある中で、熟慮を重ねて大変重たい判断をされた」と話した。そのうえで、立地自治体並みの安全協定は従来通り、同市と雲南、安来の周辺3市で一緒に求めていくとした。
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