香港から逃れた牧師、もう実名しか使わない 逮捕の危険背負ってでも
中国の民主化を求めた多くの学生たちが軍に殺された1989年の天安門事件から、4日で33年となる。その前夜、言論統制が強まる香港から2年前に台湾に避難してきた男性牧師が、台北近郊に開いた教会で初の追悼礼拝を催す。香港で恒例だった追悼行事が政府の圧力で開けなくなる中、民主化を求める灯を消さぬよう、危険を承知で実名による静かな抵抗を続ける。
牧師は王少勇さん(47)。中国の政治体制を嫌って香港に逃れた父親から長年、民主主義の大切さを説かれ、香港の民主化運動に共感してきた。牧師として働く傍ら、2019年に起きた香港の民主化デモでは、警察に暴行された若者を手当てし、教会にかくまった。仲間の聖職者らと、香港政府の強権さを批判する声明も発表した。
しかし、その活動が、親中派に目をつけられた。
20年6月に反体制的な言動を禁じる香港国家安全維持法(国安法)が施行されると、香港の親中紙に「暴力デモの黒幕」と名指しで報じられた。逮捕される危険を感じ、友人の忠告を受けて同年7月に妻と台湾に逃れた。
仮名だらけの教会 信者が恐れたのは
移住当初は香港で多用していたSNSでの発信をやめ、新たな勤務先となった教会でも仮名を使った。
台湾で自由に活動しているこ…
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