生駒の空き家対策 民間の取引に市が関わってるね 人口減に先手

室矢英樹

奈良がわかる!

 オシドリの「はなくいどり」は朝日新聞奈良総局の公式キャラクター。正倉院宝物にも描かれた吉祥文様です。花をくわえて、最新のニュースや身近な話題を求めて県内を飛び回ります。

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 はなくいどり 奈良県生駒市内の空き家が4月、民間の学童保育所になったね。

 A 大阪市に住む男性が所有する物件で、親族が亡くなった後に買い手が見つからず、11年間空き家だった。市内は共働き世帯の増加で学童保育のニーズが高い。市が支援し、居住以外での転用が決まったんだ。

 は なぜ、市が民間の取引に関わるの。

 A 生駒市は関西屈指の人気のベッドタウンだ。高度成長期の1971年に市制移行し、当時の人口は約3万7千人で現在約11万8千人。50年間で3倍超に増えたが、2013年をピークに減っている。

 過去10年で約2800人減る一方で、世帯数は約3600世帯増えている。「2025年問題」といって、3年後には47~49年に生まれた団塊世代が全員75歳以上になり、高齢単身化がさらに進む。

 国の調査で市内の空き家率は約10%。市によると宅地開発された「ニュータウン」は市内に約20カ所ある。市としては、今から手を打たないと良好な住宅環境を保てないという危機感が強いんだ。

 は いつから空き家の対策に取りかかったの。

 A 市内で最も早く宅地開発された「生駒台」の街開きから半世紀たった11年から始めた。当初は解体、改修に主眼を置き、補助金を出した。しかし、新住民を呼び込まないと、住宅街は寂れる。そこで、市は空き家を登録し、流通を図る空き家バンクを設けたが、登録がゼロだった。

 このため、市は18年に民間のノウハウを生かそうと、建築士や土地家屋調査士らと官民一体の「いこま空き家流通促進プラットホーム」という枠組みをつくった。

 は どんなことをしているの。

 A 売買や賃貸の仕組みに疎い所有者は多い。購入希望者も物件の状態、値段などが気になるよね。市と専門業者が両者の間に入って不安を取り除き、マッチングしているんだ。

 は 実績は。

 A 過去4年間に104件を取り扱い、売却44件、賃貸8件が成約したよ。購入者のほぼ半数が市外から移ってきた人たちだ。

 生駒山腹の住宅街では、大阪府内の女性(38)が約2年前に築約40年の中古物件を購入した。第1子の妊娠を機に、庭付きでペットが飼える物件を探していた。大阪市内の職場まで約40分と「職住近接」の立地も決め手になった。

 市は、空き家の所有者に学童保育所など居住目的以外での活用も呼びかけている。空き家を地域住民が集まる場にしたい考えだ。市のウェブサイトで買い手や借り手を募っている物件も公開し、購入者の事例もくわしく紹介しているよ。

 は 相談体制はどうなっているの。

 A 生駒市は14年から空き家の相談を始め、過去8年間で約130件の利用があった。この春から市外の移住希望者向けに、住まいや子育て、買い物などの相談にも乗り出したよ。

 は 空き家対策は大事なんだね。

 A 住宅政策にくわしい神戸大大学院の平山洋介教授は、空き家対策のキーワードに「全世代型」を挙げる。「大規模開発された住宅街は住民の年齢や家族構成が似ており、30年もたてば高齢化、やがて単身化に行き着く。若者や子育て世代、自営業など異なる年代、職種の住民らを呼び込むことが、住宅街の再生の成否を握る」と指摘する。

 生駒市の小紫雅史市長は、71~74年生まれの団塊ジュニア世代。市長も兵庫県内の高校を卒業し、大学、就職と東京で長く過ごし、住宅問題はひとごとではない。「ベッドタウンにとって空き家の解消は最優先の課題。親の世代が元気なうちに、大切な住まいを次世代に引き継ぐ支援をしていきたい」と話している。(室矢英樹)

生駒市の主な空き家・移住対策

・空き家相談

 賃貸や売却、相続、処分などの相談に応じる

・住まい選び相談

 中古住宅の購入希望者に建築士が現地に同行し、助言

・オンライン移住相談

 移住希望者に市内の空き家、子育て、交通、買い物事情を紹介

・いこま空き家流通促進プラットホーム

 所有者と購入、賃借希望者をマッチング。市のホームページで空き家情報を公開

・空き家利活用プロジェクト

 住居目的以外で所有者と購入、賃借希望者をつなげる

・戸建て住宅賃貸化促進奨励金

 戸建て住宅を改修し、賃貸した所有者に50万円交付

 *問い合わせは生駒市住宅政策室(0743・74・1111)。

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