「社長が来ないのは非常識」東電の謝罪に憤りも 避難者訴訟の原告ら

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酒本友紀子
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 東京電力は5日、福島第一原発事故の避難者らによる集団訴訟の原告側に初めて社長名で謝罪した。原告と弁護団は「事故の加害責任を認めた」と評価する一方、「対策の不備で事故を防げなかった点を認めていない」と厳しい声も出た。

 謝罪を受けたのは、避難した住民216人が東電に「ふるさと喪失」の慰謝料を求めて福島地裁いわき支部に起こした集団訴訟の原告ら。最高裁で3月、国の基準を超す賠償支払いを東電に命じた仙台高裁判決が確定したことを受けた。

 原告らは双葉町の東電福島復興本社を訪問。高原一嘉・復興本社代表が「人生を狂わせ、心身ともに取り返しのつかない被害を及ぼした」などとする小早川智明社長の謝罪文を代読して頭を下げた。

 弁護団の米倉勉幹事長は「謝罪の法的義務はないものの、社会的責任を果たすため謝った」と評価する一方、津波対策を先送りして事故が防げなかったことを正面から認めていないと指摘。「東電は今も続く(同種の)訴訟で『賠償を払いすぎた』などと不当な主張をしており、今回の謝罪の言葉と矛盾する」と批判した。

 小早川社長が来なかったことについて、原告団の国分富夫副団長(77)は「これだけの事故を起こして社長が謝罪に来ないのは常識的に考えられない」と憤った。

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