車両が駅ホームに乗り上げ9人死傷…翌日に運行再開 中国の高速鉄道

上海=井上亮
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 中国南部の貴州省で4日に起きた高速鉄道の脱線事故で、駅に乗り上げた事故車両や線路に流入した土砂の撤去が終わり、5日から付近の運行が再開された。9人が死傷した事故の原因や安全面の検証についての説明がないまま、発生翌日の復旧となった。

 脱線事故は、列車がトンネルの出口付近の線路に流入した土砂と接触して起きた。国家鉄路集団によると、運転士がトンネル内で異常に気付いて緊急ブレーキをかけたが、そのまま土砂にぶつかり、その勢いで約900メートル滑走。榕江駅のホームに乗り上げた。

 国営メディアなどは、この事故で亡くなった運転士が「命をかけて乗客の安全を守った」などとたたえている。同集団は「早期に事故原因を特定する」としているが、再発防止策を講じたうえで運転を再開したかは不明だ。SNSでは、「誰がこの事故の責任を負うのか?」などとの疑問の声が上がっている。

 中国政府はこの15年ほどの間に、高速鉄道網を急速に拡大させて地方の小都市にまで張り巡らせた。そのさなかの2011年には浙江省温州で脱線事故があり、40人が死亡。事故の直後に車両を埋めるなどの対応をとり、隠蔽(いんぺい)体質が批判を浴びた。高速鉄道の総延長は20年には地球一周に迫る約3・8万キロになっているが、25年に5万キロにまで拡大する目標が掲げられている。(上海=井上亮)