第10回グリーンウォッシュな日本政府 気候対策技術に「過度な期待あおる」

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聞き手・江渕崇
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 中身を伴わないのに、うわべだけ環境配慮を打ち出す態度は「グリーンウォッシュ」と批判される。矛先は企業に向かうことが多いが、東北大学の明日香寿川教授(環境政策)は、「日本は政府がグリーンウォッシュをやっている」と言う。どういうことなのか。

 ――日本政府は2050年に温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げました。気候危機対策に本腰を入れ始めたと評価していいのでしょうか。

 「産業革命以降の温度上昇を2度以内に抑えるという目標を達成して気候危機を食い止めるには、短期的・中期的にさらなる踏み込みが要る。今の政府の30年時点の削減目標を大幅に引き上げる必要があるのに、認識も取り組みも遅れている。欧米では50度近い熱波、洪水、山火事など、気象異常による大災害を経験し、温暖化対策は選挙でも主な争点になっている。一方、日本では台風を受けた水害などはあるものの、気象災害の規模が欧米よりもまだ桁違いに小さい。そのためか、人々の意識の中でも温暖化への危機感はまだ薄く、政治家も、少なくとも与党の人たちはあまり語ろうとしなかった」

 「再生可能エネルギーを増やし、省エネを進める政策はあるものの、その中身も投資の規模もまったく不十分だ。基礎的な研究開発のお金は出しても、実際に省エネや再エネを普及させていくところに予算を投じることが少ない。規制によるアプローチも不十分だ。太陽光発電を屋根に載せる補助や義務づけ、農地の活用、風力発電への補助や環境アセスメントの期間短縮、省エネのための建物の断熱への投資、省エネ機器の購入支援。補助金という『アメ』でも、規制という『ムチ』でも、まだまだすべきことがある」

記事後半では、日本政府の気候危機対策が「グリーンウォッシュ」だと指摘。さらに、グリーンニューディールの可能性を解説していきます。

企業存続への意識が強い政府

 ――日本は温暖化対策と経済…

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