虐待受けた子への支援の年齢制限を撤廃 改正児童福祉法が成立
虐待や貧困などを理由に児童養護施設や里親のもとで暮らす子どもへの支援について、対象年齢を22歳までとしてきた制限を撤廃する児童福祉法などの改正法が8日、参院本会議で全会一致で可決、成立した。個々の子どもの状況に合わせた支援への転換を図る。
改正法では、都道府県が子ども本人の意見も踏まえ、自立に向けた支援が必要と判断する間は、同じ施設などに暮らせるようにする。これまでは22歳になれば、個別の状況にかかわらず年齢で一律に退所などを迫られていた。
また、施設などを退所した後の支援強化にも対応するため、通所や訪問による支援拠点を整備する事業も創設する。施設などで暮らした経験がなくても、虐待などを受けて育った人も含めて支援していく方針だ。
このほか、児童相談所が虐待を受けた子どもを保護者から引き離す「一時保護」をする際、裁判所が保護の可否を判断する「司法審査」制度を新たに導入する。
子どもへの性犯罪を理由に登録を取り消された保育士の再登録を厳格化することも決まった。
子育てに困難を抱える世帯への支援体制を強化するため、市区町村に対して、妊産婦や全ての子どもへの包括的な相談支援にあたる「こども家庭センター」の設置に向けた努力義務も課す。(久永隆一)
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こぼれ落ちる子どもたち
虐待、貧困、性被害……。大人がつくった支援制度からこぼれ落ち、困難に直面している子どもたちがいます。今の国会では、「こども家庭庁」の設置法案などの審議が始まり、子ども政策の転換点を迎えます。今後、子どもたちに救いの手が届くのでしょうか。リアルな声とともに伝えます。[記事一覧へ]