第3回専守防衛、徹底するのもやめるのも苦難 最も危うい「第三の道」とは

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編集委員・藤田直央
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 新型コロナパンデミックやロシアによるウクライナ侵攻など、これまで「当たり前」だった風景が揺らいでいます。私たちの社会が歩む道はこのままでいいのか。他に進むべき道はないのか。様々な政策課題を通し、そのジレンマや選択肢の可能性を考えます。今回は憲法編です。

 「日本の防衛力の抜本的強化」を唱える岸田文雄首相はこの年末、9年ぶりに国家安全保障戦略を改定する方針です。日本はいま、平和国家としての国のかたちが変わりかねない岐路に立っています。

 敗戦の翌年にできた憲法は、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し」(前文)、9条で「戦力」を持たないと表明。一方で政府は憲法解釈により、自衛のための防衛力は必要最小限で保有・行使できるとしました。戦後の基本政策となった「専守防衛」です。

 ところが政府が専守防衛を超えるとしてきた集団的自衛権の行使について、安倍内閣は2014年、一転して日米同盟強化のためとして限定的に認めました。政府はその後もミサイルの長射程化を進めたり、敵基地攻撃能力の保有検討を始めたりしていますが、専守防衛の範囲内だとしており、憲法に基づき自ら定めた縛りを緩めています。

 一方でロシアのウクライナ侵略によって、憲法制定当時に期待された国連による集団安全保障体制の限界にも直面しています。憲法と安全保障をめぐるこの危うい状況を克服する道はあるのか。護憲と改憲、双方の立場から考えてみます。

外交の手腕に加えて…

 護憲の道では、「戦力」を持…

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