ふるさと納税で現金バック、許される? 自治体困惑、開始2日で返金

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柴田秀並
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 ふるさと納税で「返礼品の代わりに現金がもらえる」というサービスをうたう納税サイトが登場し、SNS上で議論がわき起こった。だが、サービス開始からわずか2日目に利用者に返金すると発表。いったい何が起きたのか。

返礼品を転売し20%バック

 サービス名は「キャシュふる」。運営会社によると、仕組みはこうだ。

 利用者はまず、納税額を同社に振り込む。同社が納税先の自治体を選び、手続きを代行する。

 返礼品を受け取る権利については、納税者と別の返礼品をほしい人に同社が販売する。納税した利用者には、返礼品を転売した売り上げから手数料を差し引いた額が同社から支払われる。

 受け取れる額は納税額の20%という仕組みだ。

 ふるさと納税について総務省が定めるルールでは、納税額10万円の場合、自治体が経費に使える上限は5万円、そのうち返礼品の上限は3万円。今回の「キャシュふる」なら、3万円分の返礼品の代わりに2万円をもらうイメージだ。

 同社のプレスリリースは「返礼品が不要だと考えている方がふるさと納税を行うようになることで、ふるさと納税の受入額の増加を目指す」とアピールする。返礼品の代わりに現金が受け取れるようになれば、ふるさと納税がより活発になるとの考えだ。

 実際、ギフトカードなど換金性の高い返礼品を用意する自治体は一時、納税先として人気があった。

 ふるさと納税は、応援したい自治体を納税者が選んで寄付し、地域活性化につなげるのが本来の理念だ。

「新手の錬金術」批判の声

 同社が8日にサービス開始のプレスリリースを発表したところ、ツイッター上で議論が起きた。

 「納税して現金はいいのか」…

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    伊藤大地
    (朝日新聞デジタル編集長)
    2022年6月9日16時57分 投稿
    【視点】

    以前はAmazonギフト券など、地域に関係ないものを高還元率で返礼品とし、多額の寄付を集めた自治体が問題視されたこともありました。ふるさと納税のシステムを「ハック」する試みは、この事例が決してはじめてではありません。東京など都市部では、住民