水素エンジン車、市販化まで今何合目? トヨタが見据える登山ルート

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近藤郷平
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 トヨタ自動車二酸化炭素(CO2)をほぼ出さない水素エンジン車でレースに参戦して1年になる。「走る実験室」と言われるレースを通じ、素早く性能を向上させることを狙う。市販化という「頂上」は、どこまで視界に入ってきたのか。

 富士スピードウェイ(FSW、静岡県小山町)で6月4、5日に開かれた24時間耐久レース。ガソリンエンジンと構造がほぼ同じ水素エンジン(排気量1.6リットル)を積んだカローラは、デビュー戦となった昨年5月の358周を上回る478周(約2181キロ)を完走した。

 「2年目の挑戦。余分に走った分だけ水素社会の未来に、我々の情熱と行動で近づいた。みなさんの力のおかげです」

 最終ドライバーを務めた豊田章男社長はピット裏で、出迎えた開発担当者やドライバーらに謝意を伝えた。

 トヨタはFSWで開いた今回の会見で、水素エンジン車市販化への道筋に初めて言及した。モータースポーツ事業を担当する佐藤恒治執行役員はFSWから望める富士山に例えて、開発状況を「4合目」と表現した。

 水素エンジン車はこの1年間で出力が2割、トルクは3割向上し、「ガソリン車以上の性能」(開発担当者)まで進化したという。水素はガソリンに比べると着火しやすく、燃焼の制御が大きな技術課題だ。走行環境が過酷なレースを通じて課題を洗い出し、改善につなげてきた。

 ただ、市販化の時期については踏み込んだ言及は避けた。「富士山と同じで5合目くらいまではいけるが、その先が大変。頂上をめざすと空気や酸素が薄くなり、険しい登山が続く」と佐藤氏は言う。

 立ちふさがる壁が航続距離の短さだ。トヨタは車両の後部座席に、燃料電池車(FCV)のミライで使う4本の水素タンクを積んでレースに参戦している。だが、このままでは市販しづらい。

航続距離2倍 新たな技術の挑戦へ

 FSWでは、市販化を念頭に…

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