精神疾患 身体拘束の要件に「治療が困難」追加 厚労省検討会

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石川友恵
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 精神科医療の「隔離・身体的拘束」について、厚生労働省の有識者による検討会は9日、要件などの見直しを求める報告書をまとめた。対象を「治療が困難で、患者の生命に危険が及ぶおそれが切迫している場合」などと明確化し、不適切な拘束の最小化を図る。

 ただ、患者団体などが求めた隔離や拘束自体をゼロにする方針を明記することは見送られ、拘束拡大への懸念の声が上がっている。

 精神疾患のある入院患者は2017年時点で30万2千人と減少傾向だが、認知症アルツハイマー型)の入院患者数が増えている。新型コロナウイルスの影響でさらに増加している可能性があるという。

 精神保健福祉法に基づく国の基準では、他に手段がない▽患者の自傷行為や自殺を図ろうとする行動が著しく切迫している▽多動または不穏が顕著、などの要件にあてはまる場合に限り拘束を認めている。厚労省によると、身体的拘束が指示された件数は20年度時点で約1万1千件。高止まりの状態だ。拘束後に死亡する事案が後を絶たず、人権の観点から、拘束自体を問題視する声も高まっている。

「隔離・身体的拘束 可能な限りゼロに」は見送り

 報告書は、行動制限の最小化が求められるとし、不適切な「隔離・身体的拘束」をゼロにするなどとした。「多動または不穏が顕著」の要件について、「治療が困難」といった場合に限定するべきだとした。医療機関が対象外となる虐待があった場合の通報義務に関しては、医療機関が自治体に伝えられるような仕組みを検討するべきだとした。

 報告書の原案は隔離や拘束自…

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