意外にハマる?SLの車輪回り続けるだけの動画「見入ってしまった」

津布楽洋一
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 走行中の蒸気機関車の車輪の部分だけを至近距離から延々と撮影した、真岡鉄道の「SLもおか」の動画がユーチューブで公開され、鉄道ファンなどに好評だ。同じ動きが繰り返されているだけのように見えるが「峠を頑張って越えようとしているところをみると応援したくなる」などのコメントが寄せられている。

 SLもおかは、真岡鉄道沿線の地域活性化などを目指し、1994年に運行が始まった。土日などに、下館駅(茨城県筑西市)と茂木駅を往復して、観光客らを楽しませている。

 コロナ禍前まで例年、ほぼ3万~4万人台の乗客があり、2006年度には累計50万人、17年度に同90万人を達成。まもなく100万人を超える見込みだ。

 真岡鉄道ではこれまで、動画サイトに様々なSLもおかの動画を投稿してきたが、今回は車輪のアップに特化して2本を撮影した。

 1本目は、茂木駅から市塙駅(市貝町)の7・6キロ。25パーミル(1千メートル走って25メートル登る)という、同鉄道で一番の急勾配を走る迫力が感じられる。白い蒸気の映像や汽笛の音も、臨場感をかき立てる。

 2本目は折本駅(筑西市)と下館駅の往復で、夕日が車輪を美しく照らし出している。

 どちらの動画も、一般の人に分かりやすい沿線の風景はわずかしか映っておらず、アングルも変化なし。15分以上にわたって、ただ車輪が動いているだけだ。

 思い切った企画に、社内からも「すごいところを撮るね」との声もあった。再生回数はほかの動画に比べて伸びているわけではないが、「峠を登りきって動輪が速く回り出すとほっとする」「見たことがないアングルで見入ってしまった」などと寄せられたコメントは熱い。担当者は「SLが生きる機械といわれるわけを感じて、より愛着を持っていただける方が増えれば」と期待している。

 SLもおかの乗車には、公式サイトからの事前予約が必要だ。(津布楽洋一)

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