ディラン全曲200億円超……高騰する著作権 でも「買い」なわけ

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聞き手・河村能宏
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 音楽著作権が、かつてないほどその資産価値を高めている。ボブ・ディランや故・デビッド・ボウイニルヴァーナ……。近年、海外の大物ミュージシャンの著作権が数百億円単位で売買されるのがその象徴だ。なぜいま、巨額マネーが飛び交うのか? そもそも歴史的に著作権の売買はいつ始まった? 日本の著作権管理ビジネスの先駆者の一人、「フジパシフィックミュージック」の会長、朝妻一郎さんに話を聞いた。

あさつま・いちろう 1943年東京生まれ。66年パシフィック音楽出版(現フジパシフィックミュージック)に入社し、85年に社長、2005年に会長に。フォーク・クルセダーズ「帰って来たヨッパライ」や、大瀧詠一「A LONG VACATION」など、様々なヒットの誕生に携わった。新刊「高鳴る心の歌 ヒット曲の伴走者として」(アルテス)が発売中。

ディラン、ライバル社に権利売却の衝撃

 ――近年相次ぐ大物ミュージシャンの著作権売買。気になったものはありますか?

 「ボブ・ディランですね。所属レコード会社のソニー・ミュージックエンタテインメントではなく、ライバルのユニバーサルミュージックグループに2020年に全曲の著作権を売却したわけですから」

 ――しかも、その金額は、報道では日本円で200億円は超えている。なぜまたユニバーサルに……。

 「ユニバーサルの音楽出版部門のトップ、ジョディ・ガーソンが、わざわざ部下の名前を挙げ、彼の『情熱と忍耐力が、この機会をもたらしてくれたことに感謝したい』との声明を発表しています。ディラン側にアプローチした人間のプレゼンテーションが、信頼を勝ち得たのかな、などと想像しています」

 「注目なのは、これからユニバーサルが、この権利をどう活用するかです。きっと契約の際に『ディランの人格を傷つけるような扱い方をしてはいけない』みたいな取り決めがなされているはずです。彼の曲がポルノ映画やギャンブルのCMなどに使われることはないと思いますが、自伝映画が発表されたり、様々な映画の挿入歌に使われたり、といった動きが盛んになるかもしれません」

著作権売買「今に始まったことじゃない」

 ――他にもブルース・スプリングスティーンやスティングなども数百億円単位で権利を売却している。今後入ってくるはずの著作権収入を手放してまで、まとまった資金を手に入れたい理由が気になります。

 「売却したミュージシャンの…

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