「首相は『聞く力』というが、バイデン米大統領、安倍晋三元首相への聞く力はあっても、国民に対してはないじゃないか!」
5月25日夜、立憲民主党の泉健太代表の声が、東京・永田町の衆議院第1議員会館8階の一室に響いた。翌26日から予算委員会が始まろうとしていた。質問に立つ予定の泉氏が、岸田文雄首相役を演じる同僚議員相手に厳しく迫る「予行演習」を続けていた。
「野党第1党の党首として怒っていいはずだ」「もっと感情を出した方がいい」。温厚で知られる泉氏に、役員室長の後藤祐一衆院議員や秘書らから指摘が飛ぶ。原稿を書き直してはセリフを繰り返す。
追及姿勢を強めるべきか否か――。参院選を控え、国会最終盤の攻防にどう挑むべきか。初めての予行演習を23時まで続けながら、なお泉氏は揺れていた。
連載 野党サバイバル
野党が変容しています。迫る参院選での生き残りをかけ、政権と対決する党、融和する党、野党と戦う野党も存在感を増しています。いまの実像に迫り、野党の役割は何か考えます。
「単なるお願いではダメ」周囲の進言、うなずく泉氏
立憲は昨秋の衆院選で敗北…
- 【視点】
記事に出てくる、自民党の野党時代の谷垣禎一総裁や石破茂氏のエピソードを大変興味深く読みました。そうだったなあと思い出しました。 政党も人間も、不遇の時は何もかもダメなように見えます。記者も、よくある見方でなで斬りにしてしまいます。それがい
- 【視点】
「野党は反対ばかり」という批判を気にしすぎて、野党リーダーが判断を迷うようになって埋没したとするならば、批判した側の作戦勝ちです。野党の英訳は「Opposition」。反対そのものです。「野党の第一の役割は政権を倒すことだ」という言葉を、自