「ふるさと愛」満載のブックス発刊 「僕は知らない」に動かされ

礒部修作
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「まにわブックス」の編集責任者 三船昌行さん(74)

 岡山県北部で中国山地のほぼ中央にある真庭市。県下で最も広い約830平方キロの自治体を、子どもたちに愛着と誇りを持ってもらおうと、三船昌行さん(74)は市教育委員会が3月に発刊した冊子「まにわブックス」の編集責任者を務めた。

 約1千カ所の古墳がある市の歴史や文化、自然、産業の魅力を網羅した。A4判で156ページに及ぶ冊子に仕上がった。

 発刊のきっかけは7年前、ある男子高校生の発言だった。「大人は僕たちに市に残って伝統を受け継いでほしいと言うけど、僕たちは真庭市のことをよく知らない」

 将来の市のあるべき姿を考える審議会のワークショップでのことだ。生徒の言葉が深く心に残り、冊子発行を市教委に提案。現役教員やOBらに声をかけ、12人で編集した。

 自身も真庭市出身。1970年に小学校教諭に採用され、旧吉永町(現備前市)で教員生活のスタートを切った。

 真庭に戻り、旧校舎が国の重要文化財の遷喬(せんきょう)小に通算11年間勤め、2008年に蒜山中校長で退職するまで主にふるさとで教員生活を送った。

 中学・高校の社会科の教員免許も持っている。「郷土史が好きで、知ったことは子どもたちに教えたくて」。今も子どもたちにやさしいまなざしを向ける。

 市内に大学がないため、子どもたちの大半は高校卒業後に市外に出ていってしまう。「高校卒業までに『ふるさと愛』が身についていたら、Uターンにもつながりますから」と言う。

 まにわブックスの編集と同時に、子どもから大人まで楽しみながら郷土愛をはぐくむ「真庭ふるさとカルタ」制作の企画も進めた。読み札の言葉は民話サークル、絵は市職員に頼んで完成させた。

 「まにわブックスとカルタで育った子どもたちが、将来のふるさとづくりの推進力になってほしい」。ふるさと愛と子どもへの愛をつなぎ、真庭の未来を夢見ている。(礒部修作)