国指定の難病、届いた色紙 復活のMVP主将「人生で一番の仲間」

安藤仙一朗
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 野球の第71回全日本大学選手権大会の決勝が12日、神宮球場であり、亜大(東都)が7―1で上武大(関甲新)を下して51回大会に続く5度目の優勝を果たした。亜大は三回、5長短打を集めて4点を先制。六回には和久本(3年、常総学院)が本盗を決めるなど機動力も生かした。上武大は62回大会以来2度目の頂点を目指したが、届かなかった。

 亜大の主将で遊撃手の田中幹也(4年、東海大菅生)が、決勝の舞台で攻守にチームを引っ張った。

 まずは二回の守備。2死二塁で三遊間を抜けそうなゴロに飛びつき、相手の得点を防いだ。「いつも(先発の)青山に助けられているので、今度は助けようと」。先制点を許さないビッグプレーだった。三回には先制の2点適時打を放ち、四回は左中間への適時三塁打。本人も「できすぎ」という計3打点の活躍で大会の最高殊勲選手賞に輝いた。

 1年から大学日本代表に選ばれた好選手。昨年8月、国指定の難病「潰瘍(かいよう)性大腸炎」と告げられた。約2カ月の入院生活で体重は11キロ落ちた。部員から届いた「待ってるぞ」と書かれた色紙が、闘病生活を支えた。

 グラウンド横を歩くところからトレーニングを再開し、再びグラウンドに立てるところまで体をつくり直した。

 就任19年目の生田監督は言う。「預かってきた中でも力のないチームが、彼の姿を見て『まだまだ頑張れる』と急激に変わった」。春のリーグ戦。「1部残留」を目標に掲げたチームが3季ぶりの優勝を果たし、日本一まで駆け上がった。

 田中幹は、仲間の待つスタンドに右腕を突き上げた。「また野球をできるか分からなかったから、楽しもうと。人生で一番の仲間に支えられて楽しかった」。歓喜の輪の中心にまぶしい笑顔があった。(安藤仙一朗)

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    稲崎航一
    (朝日新聞編集委員=スポーツ、野球)
    2022年6月14日14時32分 投稿
    【視点】

    彼の抜群のセンスを見ました。 全日本大学野球選手権2回戦の近畿大学戦です。 2点リードの九回裏の守り。 近大は無死満塁から二塁ゴロでまず、1点を返します。 これで1点差で1死二、三塁。亜大にとって、サヨナラのピンチは続きます。