秋林こずえさん|ジェンダー研究者
ロシアによるウクライナ侵攻のさなかに起きている凄惨(せいさん)な性暴力被害。無秩序な戦場で起きてしまう、避けようのない厄災なのでしょうか。しかし今回、ロシアは性暴力を「戦略」「武器」として用いている、という非難の声も目立ちます。「戦略」ならば、対抗する方法もあるのでしょうか。ジェンダー研究や平和教育が専門の、秋林こずえ・同志社大大学院教授に聞きました。
あきばやし・こずえ
1968年生まれ。同志社大大学院教授。国際NGO「婦人国際平和自由連盟(WILPF)」理事。
――ウクライナでロシア軍による性暴力が起きていることが、当局の発表や報道で明らかにされています。
「大規模に性暴力が起きた1990年代のユーゴスラビアとルワンダの紛争を経て、紛争下の組織的性暴力は、国際社会が取り組むべき課題と考えられるようになりました。現在では、性暴力は戦争の『武器』『戦略』となるというのが国際的な見方です。ウクライナの検事総長や人権団体も、ロシア軍のレイプを戦争犯罪と非難しました」
記事後半では、紛争下で性暴力が「武器」として機能してしまう理由や、残虐な被害が報道されることがどんな影響をもたらすかについて、秋林さんが語っています。
ダメージ受けやすい家父長制社会
――戦地での性暴力というと…
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- 【視点】
戦争下のウクライナで、凄惨な性暴力が繰り返されていたことを報じるニュース。目を覆いたくなることがしばしばでしたが、それが統制の利かない兵士の突発的な行為でなく、「武器」や「戦術」として論理的な意図をもって行われること。また、その悲惨さを強調
- 【視点】
1990年代に起きたルワンダでの大虐殺や旧ユーゴスラビア紛争時の「民族浄化」から20年以上たって、今回、ウクライナでも新たな悲劇が繰り返された。紛争下の組織的性暴力に国際社会はどう対処すればいいのだろうか。秋林教授が指摘するように、「これ