広島県警、女性初の科捜研所長 「男女関係なく活躍の場を」

黒田陸離
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 捜査の鑑定や研究に励む後輩を温かく見守る。八幡みどりさん(59)は広島県警科学捜査研究所に入って37年。今年3月、女性初の科捜研所長となった。「志を持つ人が男女関係なく仕事を続けて、活躍できる場にしたい」

 DNA型鑑定を担う「法医」、ポリグラフ(うそ発見器)を扱う「心理」など五つの研究室があり、職員は約30人。自らの専門は化学で、覚醒剤や危険ドラッグなどの規制薬物の鑑定に多く携わってきた。試料を電子顕微鏡で検査し、分析装置で成分を分離して、データをサンプルと見比べる。試料や証拠品の状態は毎回異なり、成分の検出方法から考えることもある。「物言わぬ物から真実を見つけ出す。それを追究できるところが魅力でもあり責任でもある」。判定を出すたびに「この人の人生を変えるかもしれない」と緊張が走る。

 科捜研に入った当時、女性研究員の採用は14年ぶりだった。警察官と同じく夜間休日の呼び出しもあり、定年まで勤める女性はほとんどいなかった。「せっかく採ったんだから辞めないでよ、というプレッシャーも感じました」

 結婚や出産を機に退職も考えた。技術の進歩が著しい科学捜査は「数年離れると全然違う世界になる」といい、長く休めば戦力として戻るのに時間がかかる。それでも仕事は同僚に、3人の子育ては夫の家族らに支えられてきた。「何でも全部自分でやろうと思ったらできない。頼れるところにはどんどん頼る」。それは、研究室と家庭のどちらにも言えると実感している。

 2017年から全研究室に目配りする立場となり、子育て中の後輩たちの相談にも乗ってきた。「研究も家庭も人それぞれ。でも自分の経験が、活躍したい女性や子育てをする男性の参考に少しでもなれば」(黒田陸離)

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 山口市出身。広島大医学部総合薬学科(現・薬学部)を卒業し、1985年4月に広島県警に入った。ミュージカル鑑賞が趣味で、3人の子が中高生のころは部活の応援も気分転換になったという。