女性議員が相次いで誕生 政治参加への思いは

米沢信義 吉沢龍彦
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 山梨県内の市町議会議員選挙で、女性の新顔候補の当選が続いた。県議会の女性議員が全国最少の1人しかいないなど、女性の進出の遅れが指摘される。当選した2人に政治参加に向けた思いを聞いた。

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 4月24日に投開票された甲斐市議選で1829票を獲得し、3位で当選した若尾彰子(しょうこ)議員(33)は、5歳と3歳の子どもを持つ母親だ。初登庁した先月19日の朝は長女が発熱してあわてた。急きょ夫に仕事を休んでもらい、娘を託して会議に間に合った。

 政治に関わる気持ちが芽生えたのは3年前。保健師・看護師として働いていたが、2人目の子どもの出産を機に退職。社会に取り残されたような気がして落ち込んでいた。

 そんな時、一度仕事を離れた女性が再び社会に出るのをサポートする山梨大学の講座「インターンシップ型ステップアッププログラム」を受講して、「女性はこうあるべきだ」と思い込んでいたことに気づいた。

 「子どもが小さい間は男性は正規雇用で働いても、女性は仕事をセーブすべきだ。私もそう思っていたのですが、女性だけに選択を押しつける社会や制度がおかしいのではないか」。政治に関わって社会を変えていきたいと思った。

 「子どもが成長してからでも遅くない」と言う夫と何度も話し合い、地元の甲斐市議選への挑戦を決めた。

 自身は愛知県出身で地縁はない。「子育てしながらやりがいを持って働けるまち」など、自分の思いを書いた冊子を公園に集まる人たちに配ることから始めた。看護師仲間の後押しや地域の支援も広がり上位当選。それでも市議会の女性議員は2人に過ぎず、定数19人の1割程度だ。

 若尾議員は「社会に浸透した思い込みもあるのでは」という。昨年から自治会役員にも加わっているが、過去の役員名簿を見たら男性ばかりだった。

 「議会に限らず、地域の意思決定は男性がするものという私も含めた思い込み。そこから変えていく必要があると思います」(米沢信義)

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 4月の富士川町議選で初当選した宇田川朱恵(みえ)議員は47歳。町内で「森のようちえん きらきら星」を運営している。3児の母で、末っ子は小学1年生だ。

 13日、町議会で初めての質問に立ち、「移住・定住促進」などの政策をただした。町への移住を促すホームページの内容に鋭く突っ込み、執行部側から「更新する」という答弁を引き出すと、「即戦力」という声が町幹部からも上がった。

 立候補を決意したのは告示の1カ月前。女性議員の歩みを振り返り、今後を展望するシンポジウムが甲府市で開かれ、参加した。富士川町でも女性はなかなか立候補できないという話になり、「あなたが出ればいいじゃない」と言われたのがきっかけだった。

 「昔は政治には興味がなく、むしろ近寄りたくないと思っていた。だけど『森のようちえん』をやっているうちに、社会に必要なことと、政策のずれが見えてきたんです」と話す。

 「選挙に出るんだけど、手伝ってくれない?」と、小学校PTAの知り合いに頼んだ。聞かれた方も「おもしろいことになりそう」とピンと来た。グループLINEでつながった人は40人余り。告示までの2週間ほどで、後援会のチラシ9千枚をくまなく配った。

 選挙カーの看板も、トレードマークのイラストも友人知人が製作。選挙運動の経験豊富な男性陣の応援もあった。手作り選挙で上位の5位当選を果たした。

 当選後、月1回の勉強会「おひさまカフェ」を始めた。参院選を控えた6月のテーマは「そうだ、選挙に行こう」。参加者を増やそうと、支援者らと作戦を練っている。(吉沢龍彦)