第4回「日本は存在しなくなる」少子化は危機か、それとも受け入れるべきか

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久永隆一、中井なつみ、石川友恵
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 新型コロナパンデミックやロシアによるウクライナ侵攻など、これまで「当たり前」だった風景が揺らいでいます。私たちの社会が歩む道はこのままでいいのか。他に進むべき道はないのか。様々な政策課題を通し、そのジレンマや選択肢の可能性を考えます。今回は少子化編です。

 「何かを変えない限り、日本はいずれ存在しなくなるだろう」(5月7日)

 米電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がツイッターに投稿した言葉が衝撃を与えました。

 日本の人口は急速に減少しはじめています。理由は単純に毎年亡くなる人よりも、生まれてくる子どもの数が少ないからです。

 マスク氏は、この状況を逆転させて生まれる子どもの数が上回るようにしなければいけないとも、投稿でふれています。

 2021年に生まれた日本人は約81万人。亡くなった数は1・8倍近い約144万人です。この1年で60万人以上の人口が減ったことになります。

 政府は少子化や人口減少を何とか防ごうという立場です。子育てしやすい社会に変え、子どもを持ちたい人の希望をかなえ、結果として今より出生率を高めたい考えです。「将来的に予算を倍増させる」と岸田文雄首相は主張しています。

 一方、全く逆もあります。少子化そのものを問題視しない、という考え方です。実は先進国の多くは経済的に発展していく中で、少子化が進んでいます。そうした流れを踏まえ、少子化・人口減少を前提にして別の道を探るというものです。

 少子化を深刻な危機とみるか、受け入れるべきものとみるか。どう捉えるかで選択肢は違ってくるようです。

 まず、子育て支援を充実させたことを背景に、出生率が大幅に上昇した地域の例を見てみましょう。

土木費を半減 「なぜ子どもだけ」批判も

 大阪や神戸といった大都市圏にも近く、30万人が暮らす兵庫県明石市。20年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯で産む子どもの数)は1・62。全国平均の1・33を大きく上回っています。

 第2子以降の保育料や18歳…

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    氏岡真弓
    (朝日新聞編集委員=教育、子ども)
    2022年6月17日8時7分 投稿
    【視点】

    いまから30年近く前、戦後50年の取材をしていたときのことです。研究者を取材する際、事前に質問を送りました。「少子化への対策は」「このまま進むことをどう思いますか」 すると、ある研究者から取材に入る前に、厳しい言葉が出ました。「少子化って

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    末冨芳
    (日本大学文理学部教授)
    2022年6月16日19時25分 投稿
    【視点】

    安定した生活や人間関係の中で子どもを産み育てる労働環境や社会経済環境が、政府の失敗によって消失させられたことを、価値観の多様化という言葉で覆い隠してはならないと思います。 人口学的には、第二次ベビーブーマーと氷河期世代を非婚化や無子化

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