つむじにできたメラノーマ 生きている限り、今日も生徒と笑いたい

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 「若くたってがんになる」の2回目は、34歳で皮膚のがんと診断された三井里美さん(38)です。

みつい さとみ

 1984年北海道千歳市生まれ。大学院卒業後、フリーアナウンサーに。2013年から教員。

 「10万人に1人のがんです。あなたは悪くありません。ただ、運が悪かった。それだけです」

 医師からそう告げられた私は、何を恨んで生きていったらいいんですか?

 34歳での皮膚のがん「メラノーマ(悪性黒色腫)」の告知はあまりにも重いものでした。教壇に立っている時も目がうるみ、生徒に気付かれないよう、黒板の方を向いて涙が乾くのを待っていました。

 2016年。冬になると流氷が海を覆いつくすオホーツク海が見える学校で、新任教員として働き始めました。

 初めて担任を持った生徒たちは男子8人。毎日涙が出るほど笑い、ときどき生徒と衝突しながらも、その3年間は色濃く充実した日々でした。

 単身赴任で離れて暮らす夫とは、この子たちが卒業したら私たちも子どもが欲しいね、と話していたところでした。

 卒業アルバムに載せる写真を、みんなでああだこうだと思い出を語りながら選んだその日の夜、頭のつむじのあたりに大きなほくろがあるのに気付きました。

 「子どもの頃からあったっけ?」

 私の趣味はヘアアレンジで、まっすぐでつやのある髪が子どもの頃からの自慢でした。

どんどん大きくなる「ほくろ」

 合わせ鏡で頭頂部を見て、日に日に大きくなるほくろに違和感を覚え、医療機関を受診しました。

 「すぐに大きな病院に行ってください」。インターネットで「ほくろ 大きくなる」と検索すると「がん」と検索候補が出てくるので、「まさか、まさか、私が?」という思いでした。

 札幌の大学病院を受診し、普段通りの生活をしながら、3週間生検結果を待ちました。

 「まだかな、まさかね」

 その日もパソコン教室でいつも通りに授業をして、生徒が教室に帰る後ろ姿を見送っていると、病院から着信がありました。

 「三井さん、悪性でした。がんです」

 大学病院でのほくろの摘出手術後の生検結果は、悪性黒色腫(メラノーマ)ステージ2でした。

 「がん? 私が? 健康には気を付けていたのに、どうして? 家族になんて言ったら良い? 仕事は……?」

 何とかひねり出した言葉は、「先生、私、卒業式には出られますか?」でした。

 11月、初雪が地面を覆い、卒業式まであと少しという季節の出来事でした。

 ひとしきり泣いた後、赤くなった目の周りにファンデーションを塗り、食堂に行きました。

 「三井先生、どうかしたんですか?」と生徒に聞かれ、「なんも!」と言うのが精いっぱいで、その日の給食は灰色の砂をかんでいるようでした。

 私のがんはつむじのあたりに…

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