新型コロナウイルス対策に関し、政府は屋外でのマスク着用を条件付きで不要としました。この方針に沿って私たちはマスクを外すのか。それともそのままなのでしょうか。そもそも、なぜ日本社会ではこれほどまでにマスクが徹底されてきたのでしょうか。コロナ禍の人々の心理を調査してきた筑波大学の原田隆之教授(臨床心理学)に聞きました。
1964年生まれ。専門は臨床心理学、精神保健学、犯罪心理学。著書に「あなたもきっと依存症」「心理職のためのエビデンス・ベイスト・プラクティス入門」など。
マスクの着用は、多くの人が気にする新型コロナ対策の代表格になっています。手洗いやワクチン接種は見た目ではわかりませんが、マスクは一目瞭然です。目立つので話題にものぼりやすい。さらに、研究の積み重ねで効果が少しずつ明らかになり、当初懐疑的だった人も含め、みんながマスクを着けるようになりました。
徹底された理由はそれだけではありません。多くの人は周りにうつしたくないし、自分もかかりたくないという気持ちがありました。感染防止に対する意識や教育水準の高さもあります。これは、自粛の呼びかけを多くの人が守ったり、全人口の8割超がワクチンの2回接種を終えたりしたことなどからもうかがえます。結果として、日本の感染者や死者の数は諸外国と比べ、抑えられています。
マスク徹底の理由には同調圧力もあったと原田さんは指摘します。後半では、マスクを外すことに不安を感じる心理や、長引くコロナ禍で高まっている感情について語ってもらいました。
同調圧力 悪い面ばかりではない
同調圧力も着用が徹底された理由のひとつです。マスクを着用しない人やできない人を攻撃する「マスク警察」と呼ばれる人が現れ、マスクが必要のない場面でも周りを気にしすぎて外せなくなってしまう人も少なからずいます。
悪いイメージでとらえられが…

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