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第4回「私との思い出を」整理した家族写真 受けなかった人間ドックに悔い

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井上道夫
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 2021年2月、希少がんである消化管間質腫瘍(しゅよう、ジスト)との診断を受けた私(54)は、東京都中央区国立がん研究センター中央病院に入院して治療を受けていた。

 抗がん剤が引き起こす強烈な吐き気に耐えながら、体の中の腫瘍が小さくなるように祈っていた。

最後の人間ドックは5年前

 入院中に勤め先からメールが来た。前年11月に受けた健康診断の結果、肝機能を示す数値に問題があるとのことだった。

 仕事を続けて約30年、病気の影響をうかがわせる結果が出たのは初めてだった。

 健康には自信があり、5年前を最後に人間ドックを受けていなかった。検査前の絶食が面倒だったこともある。

 消化管の壁に腫瘍ができるジストは、胃がんなどに比べると、症状が出にくく、発見が遅れることが多いという。

 そうだとしても、腹部のエコー検査やCT検査を受けていなかったことが悔やまれた。

 自覚症状はなかったのかといえば、1年ほど前から、肛門(こうもん)付近につねられたような痛みを感じることがあった。

 時間にして数秒程度、1カ月に1度あるかないかの頻度だったので、あまり気にしていなかった。

 もう一つ、尿の出が悪くなっていた。チビチビとしか出ない。

 年のせいで膀胱(ぼうこう)に弾力がなくなったせいだと思い込んでいた。

 しかし、病院で受けたCT検査では、腫瘍に膀胱が押しつぶされ、医師によると、ひしゃげたような状態になっていた。

 早く病院に行っておけばよかった。

 病院で考えていたのは、家族のことだ。

 新型コロナウイルス感染症の流行で、家族との面会は制限されていた。

 荷物の受け渡しも職員を通さねばならず、直接会うことはできなかった。

 連絡はメールやLINE、許可された場所での電話だけだった。

 苦しい時、家族と会えないのはつらかった。心細いのだ。

 病室には、これまで撮りためてきた家族写真が入ったメモリーを、パソコンとともに持ち込んだ。

思い出残すため 写真整理

 吐き気や痛みがない時間は、もっぱら写真の整理をした。

 妻(48)との新婚時代、そ…

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