目前であきらめた甲子園 もう一つの「あこがれ」に向け、下した決断

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編集委員・稲崎航一
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 高校のときには立てなかった全国の舞台だった。

 全日本大学野球選手権に出場した和歌山大の松田遼太は、2年生ながら正捕手を務める。

 大阪・履正社高の出身だ。2年生だった2019年の夏、全国制覇を遂げた。ボールボーイを務め、データ分析係としても貢献した。

 翌20年春の選抜大会。松田は背番号12をつけ、甲子園の土を踏むことが決まっていた。正捕手はプロ野球阪神の選手だった関本賢太郎さんの息子、勇輔。控えとはいえ、ようやくつかんだベンチ入りだった。

 その選抜大会はしかし、新型コロナウイルス感染拡大のため中止された。

 「コロナだし、しゃあないなと」

 今ではそう笑って振り返るが、「もちろん、ショックでした」と語る。

 当時から、「ノーサイン野球」を掲げて自主性を育む国立の和歌山大の野球部にあこがれていた。

 コロナで高校最後の夏の大会もどうなるか、見通しがつかない。

 4~5月の休校期間に考えた…

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    稲崎航一
    (朝日新聞大阪スポーツ部長)
    2022年6月16日12時53分 投稿
    【視点】

    松田選手のお父さんは「本人よりも、親の方が葛藤があったかもしれません。小さい頃から野球を頑張って、やっとベンチ入りできたのに……」と明かしてくれました。 甲子園で優勝を狙うぐらいの強豪校で、背番号をもらう実力がありながら、野球部を引退