第3回殺人場面、執拗なほど長いカットで 崔洋一「僕の青春を刻み込んだ」

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聞き手 編集委員・石飛徳樹
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 1984年、赤川次郎原作の角川映画「いつか誰かが殺される」を撮りました。原作では少し触れているだけの満州(中国東北部)の物語を膨らませ、スパイ映画にしようと思いました。試写を見た赤川さんが「これは僕の原作じゃありませんね」とおっしゃいました。「その通りでございます、先生。申し訳ございません」と謝りますと、笑っていました。

映画監督の崔洋一さんが半生を振り返る連載「けんか上等の映画人生」。全3回の3回目です。

 《この映画では主要人物の1人が沖縄に行く。その後も「Aサインデイズ」「豚の報い」など沖縄を舞台にした作品が目立つ》

 この試写で角川春樹さんも見ていました。終わってすぐ「崔、北方謙三の『友よ、静かに瞑(ねむ)れ』をやれ。明日から準備だ」と言うんです。これがプロデューサーとしての角川さんのすごさです。こんなこと言える人、他にいません。

 《藤竜也原田芳雄演じる、男の友情を描いたハードボイルド。舞台を本土から沖縄に移した》

 ロケハンに行くに当たり、「絶対に見ておけ」と言われていた場所がありました。辺野古です。米軍基地キャンプ・シュワブに張り付いた寂れた歓楽街。「ここしかない」と即決しました。料飲組合長が「米軍の車が使えるよ」と言うので、藤さんの車とすれ違うシーンを作りました。米兵たちには「訓練だ」と言いくるめていたようです。彼らも最初は友好的でしたが、テイク3になると、どうやらエキストラに使われているだけだと気づいて、怒り出しました。

 沖縄と言えば忘れられないこ…

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